第3話 不二子の残り香

ハードボイルド日記

不二子との出会いは数年前の冬だった。

俺は、いつも新車をキャッシュで買う嫌味な男…鉄男とお酒を交わしていた。

鉄男はクールな男で、二人でいるときは決まっていつも俺が彼女役w

最近の出来事や悩みなんかを一方的にまくしたてる。

答えなんかはどうでも良くて、ただ無言になるのを避けたくて、ルパン三世のごとく五右衛門にワルサーP38をぶっ放す。

その時たまたま相席になったのが不二子とあーちゃんだった。

不二子は悩み多きか弱き乙女のごとく、鉄男にいろいろと打ち明けていた。

俺はというと、あーちゃんを笑わせるのに全力投球!

けど、なかなか投げ返してくれなかった(涙)

唯一、興味を持ってくれたのがダイエットの話。

どうやら不二子もこの話には興味を持ったらしい。

ちょうどその頃の俺はダイエット中で、昔履いていたルパンのようなタイトなジーンズをもう一度履くことを目標にしていた。(結局、無理だったが…)

ただのダイエットの話でも、俺は得意の花言葉で彼女たちを笑いの園へと導いていく。

これに気分を良くした俺は、不二子にカラオケをリクエストしてみた。

『KARAのジャンピン♪』(そこはルパン♪だろと自分でツッコミつつw)

彼女は見た目とは裏腹に立ち上がって熱唱♪♪♪

コーラスも一人でこなしている姿に心奪われたwww

その後、不二子とは何度か会うことになるのだが、それはとても居心地のいい時間の流れ方だった…

残り香を感じたまま…

不二子との別れは必然だった。

鈍感な俺でも最初からそれは分かっていた。

彼女に恋をしていたわけではないので別れは辛くはないはずなのだが、彼女の残り香が脳裏に残ってなかなか離れない。

時間だけがそれを解決してくれるはずだった…

だが自分を見失いかけていた時に、時が戻り始める。

自分の思考が光速を超えて時をさかのぼっていく。

タイムマシンにいざなわれた俺は不二子の後ろ姿を見つけてしまった。

(ここからが第1話の続き)

それが口実だったのか定かではないが、彼女に「誕生日おめでとう」と連絡した。

ほどなくして彼女からありがとうと連絡があり、すごくうれしかったのをよく覚えている。

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