第7話 ドラッグ&ドロップ

ハードボイルド日記

俺にはすでに両親がなく、親戚付き合いもほぼほぼない。

唯一の肉親はLittle Sisterのみ。

別々に暮らしているが、一応連絡は取りあっている。

俺は発達障害かを確かめてくれる病院を探していたのだが、田舎だからなのかなかなか見つからなかった。

そんな中、妹が探してくれたリストからようやく予約がとれた。

だましだましだが、もちろん仕事も続けていた。

ひとつ心残りがあって、一度あきらめた仕事をもう一度チャレンジしたかった。

嫌で逃げてしまったという事実をどうしても認めたくなかった。

上司に頼んでもう一度やらせてもらったが、結局まともに出来なかった。

この頃から、周りの人たちからも心配されてしまうくらい情緒不安定になっていた。

その状態で精神科に行ったのだが、すぐに先生に適応障害と診断された。

発達障害のことで病院に行ったつもりだったが、まずは適応障害を治すことが先決らしい。

抑うつ、不安、パニック…

処方箋も出たが、俺は受け取らずに帰った。

次の日に上司に病気のことを報告すると、薬はちゃんともらって来るよう念を押された。

一応薬は取りに行ったが、全く飲む気はなかった。

今まで薬といえばビオフェルミンぐらいしか飲んだことがなく、放っておけばだいたいは何でも治っていた。

レクサプロという薬をもらったのだが、ネットで調べてみるとセロトニンやドーパミンなどの幸福ホルモンに作用する薬らしい。

それって筋トレと一緒じゃないか!

だったら今まで通り民間療法でOKだよね?!

俺はいつも仕事から帰ってすぐに筋トレをしている。

仕事が終わればだいたい気分は大分落ち着いていたから、筋トレを始めるにはちょうど良かった。

筋トレ中は精神的な辛さより肉体的なキツさが勝っていた。

けど、朝起きるといつも抑うつ状態…しかも日に日に酷くなる。

その頃の仕事は、上司が比較的気分が楽な仕事をまわしてくれていた。

それも苦しくなってきて、とうとう禁断の果実を口にした。

やはり根性で病気を治すには無理があったようだ。

その薬は俺の場合、1週間ほどで効果があった。

以前と比べると大分気分は落ち着いてきている。

ただ、全く眠れなくなってしまった。

寝たかどうかよくわからない状態で仕事をすることになってしまった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました